松阪豚
継承ストーリー
一人の男が50年を懸けて生み出した松阪豚
それを世に広めるのは「まつぶた」の命です
松阪牛に匹敵するという評価まで受けた、畜産家・山越弘一(やまこし こういち)さんが試行錯誤してつくりだした松阪豚を広めたい。松阪豚を初めて食べたその日から、「1人でも多くの人に食べてもらい、この感動を味わってほしい!」との想いがふつふつと沸き上がりました。そしてこの熱い想いは、当時会社員だった私を、起業してでも松阪豚専門販売店を作り、ついには山越畜産を引き継ぎ、松阪豚の生産者という道へ突き進みました。松阪豚は、山越氏が50年間の歳月をかけて創り出した、数あるブランド豚の中でもとても貴重な品種です。それを絶やすまいと2022年4月から豚の本当の美味しさを継承していく覚悟を決めて、生産者としての道を歩み始めました。(初めての出荷は2023年3月です)
養豚業界のレジェンド「山越弘一」が
試行錯誤し続けた松阪豚の本当の美味しさ
畜産家・山越弘一さんは日本養豚界のレジェンドと言われていました。なぜなら、全国養豚経営者会議(現:社団法人 日本養豚協会) 第6代会長を務め、国内品評会では長年にわたり「国内トップジャッジ」を獲得していたからです。
山越さんは4、50年以上前から「安心と安全を徹底的に担保された良質の豚が求められる時代がくるはずだ」と、これまでの養豚の常識を覆すような生産方法をずっとされていました。いまでは食品に対する表示、食品業者の倫理やモラルなど、多方向から安心と安全を求められる時代になりつつあり、山越さんの想いに間違いがなかったのだと私は確信しています。
良質な豚を生み出すには、豚の品種の掛け合わせが全てです。そのため、山越さんもさまざまな豚の種類の掛け合わせをいくつも試みました。そうしてたどり着いた答えが、ランドレース種(L)と大ヨークシャー種(W)を、山越畜産より受け継いだ交配の技術で掛け合わせたLWヤマコシMIX(種豚)に、デュロック種(D)を掛け合わせた、LWDヤマコシMIX三元交配豚。このLWDヤマコシMIX三元交配豚を松阪豚として販売しています。ですのでLWヤマコシMIX(種豚)あってこその「松阪豚」なのです。
松阪豚の血統は、この「LWヤマコシMIX(種豚)」によって確立され、良質なデュロック種(D)のオス豚をかけ合わすとさらなる旨味を引き出します。このデュロック種(D)のオス豚を見つけ出すコツなど山越さんから教わってきたものを、これから更に経験を積んでよりよくしていきたいです。
松阪豚は、一般流通させていません。なぜなら、松阪豚は一般流通では規格外とされてしまうからです。一般流通規格では、豚肉の等級は脂肪の厚さと枝肉の形で決められているのですが、「特産松阪豚」は、飼育期間210〜230日、重量約140kgぐらい、通常より約2ヶ月間長く大きく育てられているため、流通規格に沿わないのです。つまり、一般流通させると”美味しいのに等級が低くなる”という現状があるのです。
松阪豚の生産に携わることになった
きっかけとその現状
出会った当時から、山越さんは「跡継ぎもいないから、俺の代で松阪豚は終わりや」と言っていたのは知っていました。そのこともあって、山越さんが少しずつ病で弱っていくのを目の当たりにし、もう「松阪豚」を販売できないかもしれない、との危機感を強く持ったのです。もともと松阪豚の虜になっていましたし、起業当初から「松阪豚」を後世に伝え残したいとの思いが強くありました。だから、
私がやるしかない!
と一念発起したのです。
松阪豚を後世に残したい気持ちはありましたが、販売だけしているのと、生産にまで携わることでは大きく違い、想像をはるかに超える大変さでした。松阪豚を育てるための土地探しに165件回って「お願いします」と頭を下げたり、自分たちで壊れた設備を修繕したり、豚舎の寒さ対策のために、トタン板を打って段ボールを敷いたり…。今までに経験したことのない問題が山積みです。
養豚を始め、生活も一気に変わりました。朝は7時に豚舎へ行き、8時から出荷が始まります。それから半日かけて豚舎の清掃を行い、午後からは体についた臭いを落として店舗へ向かいます。
14時からは店舗での営業、19時の閉店後は事務作業やスタッフとの打ち合わせ、営業活動が続き、気づけば、店を出るのが25時を回っていた…ということもザラにあります。それでも、松阪豚を楽しみにし、応援していただけていることにやりがいをもって日々を過ごしています。
松阪豚が途絶えることだけは絶対にしたくない。
畜産界の宝だから。
そんな話をすると、「どうしてそこまでしてやるの?」と思われたり、実際に聞かれたりもします。ですが私は、松阪豚が途絶えることだけは絶対にしたくないという想いでやっています。松阪豚は、山越さんが50年もの年月をかけて作り上げた「最高傑作」であり、その生産手法を残していくことは私にとっての使命だと思うようになっていきました。
そんな松阪豚を継承していくための苦労はいといません。だからこそ、苦しくつらいことも乗り越えていく覚悟で取り組んでいます。
またありがたいことに、こういったお話をさせて頂くと、たくさんの方から温かい応援の言葉をかけて頂けます。そういった方々の後押しも受けながら、松阪豚の養豚に日々励んでいく所存です。
そこまでして私を突き動かしているものはただただ、初めて松阪豚を口にした”あの感動”を誰かに届けたい、誰かと共有したい、それが私の軸となっています。
「松阪豚」を一人でも多く、より広く届けるために、世界を見据えて活動を行っています。地道に一歩ずつ歩んでいくためにも、まずは地元松阪に「松阪豚」を根付かせて、松阪が盛り上がっていけばいいな、と思いまた新たな活動を始めています。
肉の町としての「松阪豚」を地域に根差す。
それが第一の私の夢
三重県松阪市は「牛」で有名です。日本人のおおよそが知るあの「松阪牛」です。最近ではB1グルメに登場した「松阪鶏焼き肉」の鶏は、全国へ少しずつ認知を広げているのをみています。
かくいう松阪豚はどうだろう?
私の第一の夢はそこにあります。松阪豚の認知を膨らませ、松阪は「牛」も「鶏」も「豚」も・・・
とにかく「肉」が有名な街なのであると、全国、ひいては世界に轟かせたいのです。
一般社団法人 松阪肉肉肉協会の理事も務めています。それだけの強い想いで松阪豚を生産し、販売しています。松阪牛に負けず劣らず、その想いをじっくりと噛みしめていただきたいです。
きめ細やかなさしの入った牛のような松阪豚。ぜひご賞味ください。
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山越畜産ブランドストーリー
「日本養豚界のレジェンド」と言われる、畜産家・山越弘一。
山越が50年を懸けて生んだ究極のブランドポーク「松阪豚」の、知られざる歴史に迫ります。